「おうちラーメンのススメ」と題し、このシリーズでは国内外各地を飛び回り様々なラーメンを啜り、年間500杯以上ものラーメンを啜った年もあるラヲタの筆者がなかなか外に麺活に行けないラーメニスタのみなさんにご自宅でもラーメンを楽しんでいただけるよう、全10回にわたり、おうちラーメンをお手伝いできるような投稿をしていく試みです。
「旨味」って何?
普段何気なく食事をしている中で感じる「旨味」ですが、それがいったい何なのかご存知ですか?旨味といえば、コクが深いとか味に奥行きがあるとか身体に染み渡る、のように抽象的な表現をしがちですが、この「旨味」は生理学において味覚を構成する基本味のうちのひとつで、なんと日本人が見つけた味覚なんだそうです。抽象的な表現になるのもなんだか納得できますね。
さて、私たち人間は味覚を舌で感じることが多く、舌の表面にある器官からそれぞれの味覚に分類される物質を感じ取っています。基本味は甘味、塩味、酸味、苦味、そして旨味だと言われており、今回はその中の「旨味」にフォーカスを当てて説明していきます。
旨味は3種類の「酸」で構成されている
この「旨味」ですが、生理学において「この物質で感じるぞ」っていう物質が既に明らかになっています。文系ガールなので詳細は割愛しますが、アミノ酸のグルタミン酸、核酸のイノシン酸・グアニル酸の3種類が旨味を構成する「酸」となります。酸だけに3種類、覚えやすいですね。
旨味の「相乗効果」
多くの料理はこれらの旨味成分が濃く引出されるようにしたり、組み合わされるように作られます。例えば和食でよく使われる「合わせ出汁」は、昆布(グルタミン酸)×鰹節(イノシン酸)、クリームパスタでよくあるチーズ(グルタミン酸)×乾燥きのこ(グアニル酸)というような組み合わせそれぞれアミノ酸と核酸を組み合わせて旨味を引き出しています。これは、旨味の相乗効果なんて言って料理研究家の方なんかは当たり前のように言っている概念です。要するに、この「旨味」になり得る食材を組み合わせて化学的に正しくちょい足し投入しよう!というのが今回の本題。と、まぁ理屈はここまで説明しましたが、どの食材にどんな旨味があるのか?ということはちょっと覚えにくいと思いますので、次の項で簡単に選べるよう、ご紹介していきます。
いっちゃんセレクト!ちょい足しにおすすめ食材
インスタントラーメンは記載のレシピそのままでも美味しく食べられるように、各社のプロ等が作り上げている商品ですのでそのままでも旨味があります。それをさらに深くするのであれば、インスタントラーメンもともとのスープの味によってちょい足し食材や組み合わせを選ぶのがおすすめです。また、調味料のちょい足しだけでなく野菜や具材のトッピングをすることで見た目も華やかになり、アクセントも加わりさらに美味しく食べることができます。
おすすめちょい足し調味料&食材
厳密にいえば、グルタミン酸もイノシン酸もグアニル酸もみんなちょっとずつ含有してるよーっていう食材もありますが、今回はそういうことは一旦忘れて‥‥。下にアミノ酸と核酸それぞれをグループ分けしてラーメンに合いそうな食材のみ記載しました。以下から各グループより1〜2個以上を組み合わせてちょい足しにお役立てください。
アミノ酸(グルタミン酸)
刻みネギ、刻み玉ねぎ、海苔、チーズ、卵、味の素、ごま油、ほうれん草、しょうが、キムチ、酢、ごま油
核酸(イノシン酸・グアニル酸)
肉類(チャーシュー・肉団子・ワンタンなど)、海老、干しえび、しらす干し、節粉、きのこパウダー
調理例:マルタイ棒ラーメンにちょい足し
ちょい足しするのはこちらの調味料です。

酢+ごま油(どちらもアミノ酸)。あれ?味の相乗効果はどこいった?と思った方、さすがです。今回はマルタイの棒ラーメンを作っており、これはとんこつラーメンです。とんこつスープは核酸に分類されるイノシン酸の旨味ですので問題ありません。ちなみに醤油と味噌はアミノ酸ですので作るラーメンによっては「節粉だけちょい足しする」とかでも全然良いと思います。
酢は大さじ1杯くらい、ごま油は数適垂らして鍋で煮込んでいきます。

酢の酸味を軽く飛ばします。

結論:見た目に美しいほどにいろいろ乗っけてしまえば美味しい。

というわけで、冒頭化学だの相乗効果だと回りくどく説明してきましたが、化学の基本はみなさん押さえられたかと思います。調理例と結論で全てが台無しですが、ご自宅で料理するときにラーメンに限らず様々な料理にも応用ができますので是非参考にしていただければと思います。ラーメン!

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